こなたよりかなたまで

淡々とつづられていく物語。

ゲームの特徴

まさか「こなかな」をAndroidで見るとは思わなんだ……。この作品はキャラ設定やシナリオがものすごくうまいんだよ。※以下、ネタバレあり。見たくない人は使い方攻略へ。

仲間たち。だが、次第にその関係も変化し……。

例えば、主人公「遥 彼方（はるか かなた）」と吸血鬼であるヒロイン「クリステル・V・マリー」の関係性。彼方は両親が他界し、自身も末期のガンに侵されている。そんな中で出会ったのは、不死の力をもつ吸血鬼。彼女はその力を契約というかたちで他者に与えることができる。ただし、契約を行うと吸血鬼を狩る者から追われてしまう。人として生をまっとうするか、人外となりクリスと共に今以上に「死」におびえる日々をすごすのか、それとも……。この切迫した設定をつくっただけでもすごいけど、それが淡々と丁寧に描かれている。ラストに彼方は、とても優しい答えをだす。この「優しさ」は他のルートでも充分に表現される。

イベントシーンも豊富。

彼方に好意をよせる幼なじみ「佐倉 佳苗」とのルートでは、自分が死んでも彼女を悲しませないようにあえて冷たく接する。佳苗は彼がもうすぐ死ぬことを知らない。だから、純粋な気持ちをぶつけて、その度に拒絶される。嫌われたと彼女は感じ、心を病んでいく。ここに、香苗のことを好きな主人公の親友「島田 耕介」がからむ。耕助は、彼方が死ぬことを知っているが口止めされている。普通の三角関係じゃない、三人はそれぞれのことを本当に大事に想っている。その優しさがね……主人公の運命の残酷さを際立てている。このゲームはジレンマしかない。見てて辛くなる。けど、最後の最後に、それが報われるように作られている。

ゲームの流れ

画面をタッチして読み進めるだけ。縦にタッチスライドさせるとテキストの非表示。横にタッチスライドすると文字送り（スキップ）。OPムービーはないがキャラの会話はフルボイス。BGMや効果音も搭載されている。

操作で特殊なのは携帯端末のメニューボタン。キャンセル（戻る）ボタンにもなっているので、各項目を閉じたいときはメニューボタンを押そう。

親友の耕助。こいつもむちゃくちゃ良いヤツ。良いヤツすぎるんだよ……選択肢もあるが数はそれほど多くない。そのシーンごとにセーブを残しておくといいかも。

一度見たイベントシーンはアルバムで閲覧できる。このイベントシーンを集める楽しみもある。

佳苗の特徴的な髪型も伏線のひとつ。そのきっかけとなったエピソードも良いんだけど、彼女のルートの最後にある伏線回収がすごい。もうね、すれちがいのジレンマが一気に昇華される名シーン。